ゆめ通信
2017年元旦号
謹んで新春のお慶びを申し上げます
旧年中は格別のご厚情を賜り、心より御礼を申し上げます。
おかげさまで財団は設立5年目を迎えることができました。
これもひとえに皆さまのご支援の賜物だと感謝いたします。
ありがとうございました。
本年も、どうぞ宜しくお願いいたします。
平成29年元旦
〒108-0023
東京都港区芝浦2-14-13-602 加瀬ビル161-6F
一般財団法人 市川森一脚本賞財団
理事長 福地 茂雄
TEL&FAX:03-6435-3135
E-mail:zaidan@ichikawa-kyakuhon.com
新年おめでとうございます。
今年も皆さまにとって輝かしい一年となりますようお祈り申し上げます。
いつもご協力を賜りましてありがとうございます。
心から感謝いたしております。
今年もよろしくお願い申し上げます。
年が明けるとすぐに市川森一脚本賞の選考会が始まります。
4月に第5回目の授賞式が行われる予定です。
今年はどなたに決まるのか・・・いつもワクワクする楽しみな時期です。
これまで授賞なさった方は、皆さま大活躍をなさっています。
とても喜ばしいことです。益々のご活躍を期待させていただいております。
昨年(28年)の市川森一に関わる出来事をご報告致します。
・ 4月 市川森一・藤本義一記念東京作家大学入学式。
・ 4月 長崎で第5回夢記(市川森一記念日)開催。
・ 4月 市川森一脚本賞授賞式。
・ 5月 長崎で市川森一脚本賞受賞者を囲んでの祝賀会。
・ 9月 市川森一原案 「ドラマティック古事記」を新国立劇場オペラパレスで上演。
・ 11月 長崎で市川森一記念文化講演会開催。(講師・女優 佐久間良子様)
・ 11月 長崎で第3回森一忌開催。
・ 他に市川森一原案の「ドラマティック古事記・パートⅢ」が2月に宮崎で上演。
本年1月27日に宮崎、9月2日に東京新国立劇場オペラパレスで公演予定。
今年も引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
財団理事 市川美保子
皆様、新年あけましておめでとうございます。
市川森一脚本賞も今年で5回目を迎えます。
昨年は過去の受賞者の方々の活躍が目立ちました。
第1回受賞者の大島里美さんは連ドラ、単発を執筆されました、特に年末に放映された単発のクリスマスSPドラマ「わたしに運命の恋などありえないって思ってた」は受賞作「恋するハエ女」をほうふつとさせるテンポといきいきとしたセリフで、演出、出演者との相性もよかったのでしょう、大島さんらしい快作となっていました。
第2回受賞者の浜田秀哉さん。昨年は「ナオミとカナコ」「Chef~三ツ星の給食」という2本の傑作連ドラを発表されました。前者は原作物に取り組んでミステリードラマの可能性を広げ、後者はアンチ・グルメとでもいえそうなチャレンジングなオリジナル。いずれも劣らぬ傑作で、もう押しも押されもせぬ実力派です。
また、奨励賞を受賞されたバカリズムさん。「黒い十人の女」「かもしれない女優たち2016」「桜坂物語」と大車輪。特に「黒い十人の女」はともすれば時代遅れになりかねない市川崑監督作品の設定をまったく違和感ない現代劇に移し、正直、オリジナル以上に楽しめました。同じく奨励賞の宇田学さんも連ドラ「99.9」を発表され、力量を証明しています。
歴代受賞者の方々のドラマを見るにつけ、市川森一脚本賞に携わっていることを嬉しく思います。今年はどんな作品が生まれるか。ワクワクしながら新年を迎えています。
財団理事 小林 毅
2017年はオリジナルを
あけましておめでとうございます。
今年、2017年はドラマ界にとってことさら大事な年になるのではないでしょうか。原作中心から脚本家中心のオリジナルへシフトする時期に来ていると思います。
テレビドラマの歴史を振り返ると、各局ともドラマが様々な理由で行き詰まったとき、上昇への突破口を開いたのは脚本家を中心としたオリジナルドラマでした。市川森一脚本賞が、オリジナルドラマ制作の機運を盛り上げる一助になればと願う2017年頭です。
財団理事 辻 萬里(月刊ドラマ編集長)
あけましておめでとうございます。
昨年のテレビ界は、<あまロス>以来久しぶりの、ロスばやりとなりました。年末のスマップ解散によって多くの人たちが罹った<スマロス>をはじめ、ドラマにおいても<真田ロス>や<逃げ恥ロス>等々。こうした意味で使うロスとは、もともと愛玩犬を失った寂しさ=ペットロス=喪失感を謂うようですが、テレビドラマが、愛玩犬のように、なくてはならないものとして意識されることは、ドラマが普通の人々の生活に深く入り込み、個人の生き方考え方に大きな影響を与えるという意味で、それはそれでいいことに違いありません。しかし、だれもかれもが、競うように<ロス感情>を言い立て、だれもがロス状態でなければならない式の報道が目立つようになると、ネット時代特有の<同調圧力>を思わせ、あまり気持ちのいいものではないと感じるのは、私だけでしょうか。
こんな時、興味のあるデーターが示されました。昨年10月、タイムシフト視聴率の結果が発表されたのです。タイムシフト視聴率とは、録画視聴率のこと。デジタル時代における視聴態様が多様化し、従来の視聴率が正確に視聴実態をとらえきれていないとして、ビデオリサーチ社が、2012年夏東京都を調査対象に試験的に始めたもので、今年、調査対象を1都6県(900所帯2300人)に広げ、改めて調査、発表したものです。発表されたのは、10月3日から30日までの放送で、録画され7日以内に再生視聴された(タイムシフト視聴)番組のランキングと、リアルタイム視聴とタイムシフト視聴率を合わせた(重複を除外)総合視聴率のランキングです。
詳しくは省きますが、注目されるのは3点です。1点は、タイムシフト視聴率は13位までドラマが占めたこと。当たり前といえば当たり前ですが、ドラマは、他の番組に比べ、個人が自省的、選択的に視聴するものであることを改めて分からせてくれます。2点目は、リアルタイム視聴より、タイムシフト視聴の方が高いドラマ番組がある事実です。その番組とは、TBS「逃げるは恥だが、役に立つ」です。リアルタイム12、5%に対し、タイムシフトでは13,7%(10/25放送)でした。ちなみに第2位の日テレ「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」は10,8%(10/26)で、リアルタイム視聴率は11,2%とわずか0,4%の違いしかありません。そして3点目は、総合視聴率から見ると、10月期のドラマだけでも、20%を超えるドラマ番組が7番組あったことです。ここ数年メガヒット作以外、20%超えのドラマが少なく、しきりに<ドラマは低迷している>との声が上がっていましたが、こうした事実から見えることは<ドラマは結構見られているじゃないか>ということです。
願わくば、新しいタイムシフト視聴率が、新たな視聴率競争の指針となるのではなく、視聴率という数字の頸木からの解放に向けて、さらに進化(深化)するよう願うばかりです。
さて、本年は財団設立から5年目となります。年明けには、第5回目受賞者の選考が始まります。わたしどもが財団設立を思い立った当初、この事業を少なくとも5年は継続させ、日本ドラマ界の底上げを図りたいと、皆様にこの顕彰事業への参加をお願いした経緯がありました。時限を区切り、<少なくとも5年>と申し上げたのには、2つの理由があったような気がします。ひとつは、受賞者を継続して5年間以上輩出させることができるか、私たちの目利き力と、ドラマ界の新人育成力に確信が持てなかったこと、ふたつには、皆様からの厚意や協力によって得られる原資のみに頼る、特異な財団の運営が長く継続させられるか、これにも当時は、確信が持てなかったからだと思います。
しかし、選奨を4回重ねる中で、受賞者のその後の活躍や、後続の新人たちの胎動の声が届くことが多くなり、ドラマ界の人材育成力も捨てたものではないと思えるようになりました。また資金不足に際し、改めての協力のお願いをしたところ、多くの会員の皆様から、深い厚意が寄せられるなど、財団の運営にも一定のめどが立ったところから、改めて、会長以下理事役員の多くが留任し、今後さらに5年、これからは、<少なくとも10年>を目指し、財団の目的を果たしていく決意を固めたところです。
あらためて、会員の皆様からいただいた絶えざるご支援に対し、心から感謝いたします。
前に申したように、私たちを取り巻くドラマ状況は、決して捨てたものではありません。自信をもって、第5回目の受賞者選考を始めたいと思います。
今年もよろしくお願いいたします。
財団常務理事 渡辺紘史
明けましておめでとうございます。
市川森一脚本賞は、お陰様で、この3月に5回目の選考会を迎えます。財団の設立から4年余が経過し、テレビの立つ地平も様変わりして、インターネットで自ら発信する時代になっています。
昨年のピコ太郎の「PPAP」は、YouTubeとTwitterが無ければ生まれないヒット曲でした。「逃げ恥」の「恋ダンス」も、YouTubeが無かりせばの、大ヒットでした。
正月早々、ちょっと怖いお話ですが、暫し、お付き合い下さい。
「スマホっ子の風景 竹内先生の新教育論 『夢はユーチューバー』勉強しない子供たち」これは、昨年の3月22日、毎日新聞の大阪朝刊に出た記事の見出しです。
一昨年の5月に、大阪府内のある小学校が、4年生男子に「将来の夢」を調査したところ、「1位サッカー選手、2位医者、3位ユーチューバー、4位公務員」になったそうです。
続いて、この記事の筆者・竹内和雄(兵庫県立大学准教授)のところに、
「子供たちが勉強しないで、危険ないたずら動画を作ってYouTubeに投稿している。
先生なんとかして下さい」との相談が持ちこまれたのです。
子供たちに聞いてみると、1億円稼ぐYouTuberがいると知って、勉強しないでも稼げるんだ、生きていけるんだと考え、子供なりに将来のYouTuber目指して、「真剣に」みんなが驚くこと面白がることを発想して、動画の投稿を繰り返していたというのです。
竹内先生は「ネットは便利ですが、使い方を間違えば人生が台無しになる」ことを、犯罪に問われることを具体例を挙げて子供たちに説明したそうです。「スカートめくりやトイレの盗撮は犯罪になるんだ」、逮捕や書類送検されることもある、と。
昨年末、SNSへの投稿をメインに置いた、60分の単発ドラマ「トーキョー・ミッドナイト・ラン」(フジテレビ:12月22日0時45分~、演出:山田智和)を見ました。
予備知識なしで見はじめて、シチュエーションがよく分からないまま、演技なのか地なのか、コムアイ(水曜日のカンパネラ)と二階堂ふみの掛け合いが面白く、最後までついつい見てしまったドラマでした。脚本は喜安浩平と三浦希紗。
女の子二人が狭い公衆便所の中で、トイレを飾っているシーンで始まります。トイレを出ると、そこは渋谷の公園通りが見える小さな公園。長回しが多いゆえか、コムアイの役者では無いリズム感に、リアルに戸惑う二階堂ふみが面白くもあるのです。
ドラマは、「人にいいことをして」SNSに投稿する「#サンタごっこ」が流行っているという設定で、二人は公衆便所を飾り立てていたのです。思ったほど盛り上がらぬままに、公園を出た二人は、コインロッカーに閉じ込められた猫を拾う。
飼い主を探そうと猫と自分たちの写真を投稿します。ところが、その写真が元カレに悪用され、「猫を盗んだ犯人・女二人を見つけよう!」と投稿され、名も知らぬ人々に追い回され、このままでは殺されるかも知れないと死の恐怖を味わうのです。
最後は血糊を使い殺されたふりをして、漸く騒ぎが治まります。
ネットの嘘を見抜けぬまま、扇動されるままに、無名の人々が加害の側に回ってしまう、危うさと恐ろしさ……。
明日は我が身が、加害者になっているかも知れないと、ふと怖くもなるのです。
選考委員長 菅野高至