来年2021年3月下旬に延期します

 

5月以降に、千代田放送会館(永田町)で行う、イベントを1年延期します。

「第8回市川森一脚本賞・贈賞式&パーティー」と、

「テレビドラマの巨人たち “田向正健”」(放送文化基金助成事業)とは、

新型コロナウイルス感染症の拡大と諸般の事情により、

来年の2021年3月下旬予定の「第9回の贈賞式&パーティー」に併せて、行います。

 

詳細が決まり次第、HPに掲載します。

 


■■■【第8回】市川森一脚本賞  ■■■

<受賞者・作品>






玉田 真也(たまだ しんや)氏


「JOKE
R×FACE」(全10回)
フジテレビ、2019年1月14日~

 

 ▶ 選考委員<選評/略歴>

 

 ▶ 第8回「市川森一脚本賞」受賞者候補者

 

 ▶ 第8回「市川森一脚本賞」<授賞式>

  ※2021年3月下旬・開催予定

 


  玉田 真也氏

【受賞の言葉】

この企画の会議に呼ばれたときには、ユーチューバーが主人公のドラマ、という以外ほぼ何も決まっていなかったと思います。

向こうからの注文に応じて書けばいいんだろうな、くらいの気持ちで会議に出かけた僕は、その会議が「さてどういうドラマにしようか・・・?」という話から始まったので、「あ、そこから考えるんだ」と面食らいつつ、ワクワクしたのを覚えています。

 

結果的には、企画の初期から携わらせて頂き、しかも内容についても大きく任せて頂いたので、かなり好き勝手に書くことが出来たという印象です。当時、連続ドラマ初の僕は、「こんなに自由にやらせてもらっていいのかな」「ドラマってこんなに自由なの?すごく楽しい!」という感覚で書くことが出来ました。初めてのドラマがこの作品で本当によかったです。

 

主人公の流川は犯罪スレスレ(というかアウト?)、倫理的にもギリギリアウト?というラインで動画撮影をする、過激なユーチューバーです。その動画撮影に、常識をわきまえた善人である、柳が巻き込まれていくことで話が展開するのですが、その柳の倫理観が徐々に突き崩されていく、というところが物語の核だと思います。

 

流川はその過激さ故に批判やアンチも多いのですが、そんなものはどこ吹く風で、やりたいことをやりたいようにやります。何者にもコントロールされずに突き進む彼女を書くのはとても楽しく爽快感がありました。その爽快感は、社会や周りからの同調圧力により、主体的に生きることを奪われている、現在の世の中を切り裂く爽快感だったかもしれません。

 

とにかく、その同調圧力を笑い飛ばすような流川の言動が、このドラマの魅力の一つになっているのは間違いないはずです。

それを体現してくれた松本穂香さん、そして、その流川の過激な攻めを引き受ける柳という最も難しい役を、絶妙なバランス感覚で演じてくれた松尾諭さん、関わって頂いたすべてのキャスト・スタッフのみなさん、本当にありがとうございます。今後も面白いと思ってもらえる作品が書けるように、頑張ります。

 

 

 


<略歴>

1986 年生まれ。34歳。大学在学中に演劇を始め、卒業後2011 年に劇団「青年団」演出部に入団。

翌2012年、劇団「玉田企画」を旗揚げし、以降すべての作品で脚本・演出を担当。

日常の中にある「変な空気」を精緻でリアルな口語体で再現し、観る者の痛々しい思い出として、封印している感覚をほじくり出し、その「痛さ」を俯瞰して笑いに変える作風が特徴。

<主な映像作品>

映画『シェアハウス』(脚本/2016 年)、NHK『ちょいドラ/ロボカトー中島と花沢さん』(脚本/2017 年)、フジテレビ『JOKER× FACE」(脚本/2019年)、映画『あの日々の話』(原作・脚本・監督/2019年4月)、映画『僕の好きな女の子』(脚本・監督/原作:又吉直樹/2019年4月)、NHKよるドラ『伝説のお母さん』(脚本/原作:かねもと/2020年2月~)

<主な舞台作品>

2012年「果てまでの旅」、2013年「臆病な町」、2014年「少年期の脳みそ」、2015年「ふつうのひとびと」、2016年「あの日々の話」、2017年「今が、オールタイムベスト」、2018年「バカンス」、2019年「かえるバード」

 

第8回「市川森一脚本賞」選考結果

■候補者4名の選出

20191220日(金)、理事有志6人(市川、辻、高橋、渡辺、小林、菅野)により、2019年の11日~1231日までに、放送&放送予定の映像ドラマから、別掲4名の候補者と対象作品を選ぶ。

 

「市川森一脚本賞」の<選考基準>は例年通り、<プロデビュー10年程度までで、オリジナル作品を執筆し、受賞を機に将来さらに大きく伸びると期待される人で、「市川森一」の名にふさわしく、

<物語性>や<夢・異空間>、さらに、<挑戦>しているか否かを考慮する。

 

■選考委員

倉内 均(くらうち ひとし)   株式会社アマゾンラテルナ 取締役会長

次屋 尚(つぎや ひさし)    日本テレビ放送網株式会社 制作局プロデューサー

森安 彩(もりやす あや)    株式会社共同テレビジョン 第1制作部プロデューサー

岡部 紳二(おかべ しんじ)   株式会社テレビ東京 編成局次長兼ドラマ制作部長

高成 麻畝子(たかなり まほこ) 株式会社TBSテレビ 事業局事業部

菅野 高至(すがの たかゆき)  選考委員長 フリープロデューサー 元NHK

 

■選考経過

2月14日(金)夜、財団事務局隣の会議室にて選考会が開かれる。オリジナルドラマが少ない中、本年は抜きん出た候補者・候補作が無く、討論を経ての投票の結果、玉田真也さんと安達奈緒子さんが同数の票を集めた。例年、選考の基準を何処に置くかで各委員は悩むところだが、本年も同様で、長い議論と投票を繰り返した後に、選考委員一致とはならなかったが、

歴代受賞者の中で最年少の玉田真也さんの将来性を期待して、理事会に推薦することに決まる。

 

■理事会の承認

2月19日(水)午前11時より開かれた第23回理事会において、選考委員長より選考経過と受賞者が報告され、出席の理事が協議の上、玉田真也さんの受賞が承認される

 

■選考理由

 

豊かなチャレンジ性と物語性に溢れた、玉田真也さんの脚本には、巧みな台詞力で時代の空気を切り取る多彩な表現力があり、将来、次代を背負って立つ脚本家になるものと、高く評価されました。

第8回・受賞者<記者発表>

2月26日午前11時より、東京渋谷・NHK放送センター14階の「ラジオ・テレビ記者会」にて、

財団理事・菅野高至から第8回受賞者の発表があり、続いて受賞者・玉田真也(たまだしんや)さんの記者会見が行われました。

選考委員 <選評・プロフィール>

  ■ 倉内 均(くらうち ひとし)  株式会社アマゾンラテルナ 取締役会長


玉田真也氏の『JOKER+FACE』はSNS社会の救いのなさを描いている。

悪意の隠しカメラの映像が公に晒され、人間が破綻していく様を見世物にして拡散を図る。そこは登場人物全員の、裏切り、憎悪、侮辱、殺意、といった邪悪さばかりが演じられる虚偽の世界。ほとんどディストピアを描くドラマと言って良い。

 

 

安易なヒューマニズムで「安全・安心」を用意しない作者のこの徹底ぶりには驚かされたが、現代のSNS社会を背景にして、人間の「心の井戸」の底にあるどろどろした水を汲み上げようとした脚本だと思った。それは辛く苦しい作業だったに違いなく、作家の切実な叫びと受け取った。

 

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<略歴>1949年生まれ。1971年4月(株)テレビマンユニオン入社。1988年4月(株)アマゾン設立代表取締役。2010年4月(株)アマゾンラテルナ設立代表取締役社長。現・取締役会長。2012年4月全日本テレビ番組製作社連盟(ATP)理事長就任。主な監督・演出作品に、『日本のいちばん長い夏』(2010)、『佐賀のがばいばあちゃん』(2006)、『母とママと、私』(2007)、「ドラマスペシャル『炎の料理人 北大路魯山人』」(1987)『四谷怪談〜恐怖という名の報酬〜』(2003)ほか。

 

 

  ■ 次屋 尚(つぎや ひさし)  日本テレビ放送網株式会社 プロデューサー


今回の選考は、脚本としての完成度や洗練度を競い合うものではなかったように思います。それぞれ四候補は、それぞれに<持ち前の良さ>があり、どの<持ち前の良さ>にベットするかを争った選考会でした。

脚本としてのクオリティー・精密さで言うと安達さんの安定感。新進のみずみずしさで言うと鈴木さんへの期待感。奇抜さとストーリー展開の妙で言うと加藤さんのアドバンテージ。そして私は、脚本としては粗削り度満載ではありましたが、攻め攻めの世界観に引き込まれ、知らないうちに首を縦に振らされる、説得感のある玉田さん作品へ一票投じました。テレビメディアに強く危機感を抱く私です。YouTubeが題材であることで、まんまとやりおおせられたかも知れません(笑)

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<略歴>1965年生まれ、愛媛県出身。早稲田大学演劇専修卒業後、制作会社を経て、2005年日本テレビ放送網㈱入社。主なプロデュース作品:連続ドラマ「アイシテル~海容~」(2010)、「Mother(2011)、「デカワンコ」(2011)、「Woman(2013) 、「先に生れただけの僕」(2017)、「anone(2018)など。伴一彦脚本作品、坂元裕二脚本作品を多く手掛ける。

 

  

 

  ■ 森安 彩(もりやす あや)  株式会社共同テレビジョン プロデューサー


脚本を読み終えた時、嫌な後味が残った。人間不信になりそうな落ち着かない感覚、SNSの動画サイトへの危機感と不安感、そして主人公への嫌悪感。逆にすごい。おそらく書き手は、読み手が嫌悪感や反発心を抱いても構わないと覚悟を決め、書いているのだろう。そして、私もまんまとこの作品の世界に、いつの間にかどっぷりと引き込まれていたということだ。

 

一気に最後まで読み手の注意力を掴んで離さない力強さ。普通とは違うドラマを作るのだという執念。今までの中で、一番振り切っている大賞受賞作だと思う。

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<略歴>1999年株式会社共同テレビジョン系列会社、㈱ベイシス入社。以来共同テレビジョンドラマ部にてドラマを制作。代表作品は<連続ドラマ>ANB「エースをねらえ!」、CX「花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス」「赤い糸」「絶対零度~未解決事件特命捜査」「カラマーゾフの兄弟」「家族の裏事情」「SMOKIG GUN~決定的証拠~」「心がポキッとね」「ふなっしー探偵」「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」、TBS「もう一度君に、プロポーズ」、NHK「受検のシンデレラ」「捜査会議はリビングで!」、<SPドラマ>CX「WATER DOYS 2005夏」「美ら海からの年賀状」「山峡の章」「積木くずし」。

 

 

  ■ 岡部 紳二(おかべ しんじ)  株式会社テレビ東京 編成局次長兼ドラマ部長


 「サギデカ」…緻密な取材に基づいたリアルな描写。重たいテーマなのに、視る者にストレスを与えないテンポの良さ、魅力的なキャラクターの配置。そして刺さるセリフ!様々な伏線を張り巡らせ、引っ張りの強い連ドラとして一級品。

 

 「不甲斐ないこの感性を愛してる」…美大進学の夢と挫折…高校卒業…そして友との別れ。若者たちの抱える「切なさ」を、まるでアドリブのような自然なセリフの連なりで瑞々しく表現した。ラストじわっと来る、良作。

 

 「俺のスカート、どこ行った?」…作品のシュールな世界観と主人公のつかみ所のないキャラクターが、この物語は何処へ行くのか…というサスペンスを感じさせた。

 視る者を困惑させる展開の中に、人間同士が真摯に向き合うことの大切さを訴える、普遍的なテーマが隠されている。

 

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<略歴>1988年東京都立大学経済学部卒後、㈱テレビ東京入社。人事部、ニュース報道部、編成部、バラエティー制作等を経て、01年よりドラマ制作部にてプロデューサーに。0510月期より、深夜枠『ドラマ24』を立ち上げる。主な担当作品:「北朝鮮拉致・めぐみ、お母さんがきっと助けてあげる」(03)「嬢王」(05)「上を向いて歩こう~坂本九物語~」(05)「モテキ」(10)「三匹のおっさん」(14)「永遠の0」(15)「釣りバカ日誌~新入社員浜崎伝助」(15)「信長燃ゆ」(16)「警視庁ゼロ係」(16

 

 

  ■高成 麻畝子(たかなり まほこ)  TBSテレビ 事業局事業部 プロデューサー  


玉田真也さん「JOKER×FACE」

限られた予算、限られた空間、限られた尺を最大限に生かしてやるぞという、何やら鬼気迫る気合のようなものを感じさせる脚本でした。

 

いったいどこに向かっていくのか、ストーリーは見えないし、セリフは支離滅裂で雑に聞こえる。よくあるノリで書いたような本なのかな?と疑わせておいて、ラストには納得感のあるオチが、必ず用意されており、実は計算して書かれていたことが、最後の最後に分かる。

気持ちのよい裏切りと切ない読後感が印象的でした。

 

最近お行儀のよい脚本ばかり読んでいたので、その勢いの良さと、あふれる才能に余計圧倒されたかもしれません。

予算も空間も尺もなんの制限もない条件で、玉田さんはどんな脚本を書かれるのか?

 

玉田さんの未来の作品に大いに期待します。私が選考会で主張した「天才の出現かもしれません」という言葉を、ぜひ証明してください。

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<略歴>お茶の水女子大学芸術教育学修士課程卒。1998年TBSテレビ入社。バラエティ制作を経て翌年ドラマ部に配属。00年「きみはペット」でディレクターデビュー。「末っ子長男姉三人」「スキャンダル」「パパとムスメの七日間」「ヤンキー君とめがねちゃん」「レジデント~5人の研修医」などを演出。08年からプロデューサーも兼務。「Around40~注文の多い女たち」で初プロデュース後、「スマイル」「恋愛ニート~忘れた恋のはじめ方」「アリスの棘」「表参道高校合唱部」など。「あなたには帰る家がある」(2018

 

 

 

  ■ 菅野 高至(すがの たかゆき)  市川森一脚本賞財団 選考委員長


はじめに総論です。地上・BS放送でのオリジナル作品の少なさは、今回の候補作のありようにも影を落としています。切ない話ですが、これは私の実感です。

NHKと民間放送のキー局には、若い感性を持った脚本家とのオリジナルドラマの開発・放送に、ぜひ挑戦して欲しい、と願うものです。

 

以下、各論です。

鈴木すみれさんが14歳の時に書いた「ココア」は、16歳の女子高生3人の今を描くオムニバスドラマで、少女一人に18分ほどのエピソードを費やして、フジテレビヤングシナリオ大賞を受賞した、鈴木さんの才気がほとばしる作品です。

でも、なぜ16歳の設定で、あえて観念で書いたのかは、私には分かりませんでした。ですが、将来性ある逸材なのは確かです。楽しみです。

 

個人的にイチオシの加藤拓也さんの連ドラが思いのほか不評でした。古田新太が女装することの本質、ダイバーシティーに迫らずに完結したがゆえで、NTVのスタッフの皆さまには是非、リターンマッチをして頂きたい、そして若い才気を輝かして欲しいのです。

単発ドラマの「不甲斐ない~」は彼の良さがよく出た作品ですが、昨年候補作の「平成物語」の続編のようでもあると、これも、受賞には届きませんでした。

 

安達奈緒子さん。「サギデカ」はテレビドラマの完成度が高く評価もされています。ですが、脚本賞の選考となると、前半でのドラマ(葛藤)の深度が浅いのが傷になり、受賞には至りませんでした。原作のあるドラマでは、しばしば秀作をものにする安達さんですから、オリジナル作品の傑作を心より期待しています。

 

YouTubeを武器に義賊気取りで不正義を糾す、コミカルサスペンス「JOKER×FACE」。玉田真也さん、受賞お目出とうございます!

それにしても参りました。圧倒的な台詞力で、低予算・少人数・箱2つの制約をものの見事に逆手にとって、優れたエンターテインメント作品に結実させました。心地よく騙され、時に「ウッソ!」と突っ込みつつ、最後のドンデンまでたっぷり堪能させられました。ありがとうございます。

玉田さんに「好き勝手に思うままに書いた」と言わせた、二人のプロデューサー、フジテレビ編成企画の村上正成氏とソケットの櫻井雄一氏に大いなる敬意を表します。

 

テレビドラマのプロデューサー、ディレクターの皆さん。

 

玉田真也さんに、お金のかかるホンを思う存分に書かせて下さい。今、彼の才気を使わない手はないのです!

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 <略歴>1970年NHK入社。「ドラマ人間模様」、朝ドラ等の演出を経て、88年よりプロデューサー。「純ちゃんの応援歌」(88年)、「むしの居どころ」(92年、芸術作品賞・受賞)、「私が愛したウルトラセブン」(93年)、「清左衛門残日録」(93年、芸術作品賞・受賞)、「トトの世界」(01年)、「蝉しぐれ」(03年)など。08年芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。115月に退職し、フリーになる。

 

第8回「市川森一脚本賞」受賞候補者(放送順)

■鈴木 すみれ  

フジテレビ「ココア」57分単発、1/4)

 

■玉田 真也

フジテレビ「JOKER×FACE」30分×全10回、1/14~)

 

■加藤 拓也

日本テレビ「俺のスカート、どこ行った?」54分×全10回、4/20~)

フジテレビ「不甲斐ないこの感性を愛している」45分単発、3/31

 

■安達 奈緒子

 

 NHKG「サギデカ」49分×全5回、8/31~)